第25章 【虎杖悠仁】ときめき
二人きりになった虎杖たちはというと。
他愛もない話で盛り上がっていた。
夏油は真面目詐欺だとか、五条はまんま子供みたいだとか、灰原は陽気で素直で犬みたいだとか、七海と伏黒の胃が心配だとか、家入は煙草をやめた方がいい、真希は姉御肌で頼れる、釘崎はなんであんなに口が悪いのか、双子は見た目が違うからわかりやすい、とか。
先輩や友人の話で盛り上がるだけ盛り上がり、やはりそれ以上の進展は見込めない。
「じゃあ、また」
「うん、プレゼントありがとう」
の家の玄関前。
二人の間に妙な時間が生まれた。
何か言いたそうにする虎杖だったが、諦めたのか踵を返して歩き出す。
そんな彼の服を、とっさに掴んだ。
くん、と引かれる小さな衝撃に虎杖は後ろを振り向いた。
自分よりもはるかに身長の低い彼女の頭頂部だけが虎杖の視界に入る。
「あのさ、虎杖。話があるの」
真面目な声の彼女に、虎杖の心臓が大きく跳ねる。
鈍い虎杖でもわかる。
これは告白をされるやつだ、と。
「いや、あの、そういうことは、あのぅ……、男の方から……」
「あ、や、違うの……そうじゃなくて」
「まって、俺から言わせて。えっと、さん!!あっ、さん付けとかなんか恥ずかしいな。えっと、ちゃん、君……あ、違う!、やっぱりがしっくりくる。えっと、!!」
虎杖は自分でもテンパっていることが分かった。
死ぬほどうるさい心臓はにも聞こえているのではないかと思うほどに激しく主張をしている。
それによって、血液の流れが速くなり顔に熱がこもる。
かさついた唇を一舐めして、震える手をの肩に乗せ、酷く乾いた喉から音を出そうと口を開いた。
「虎杖」
しかしそれより先にが、口を開いた。
そして告げられた告白に、虎杖は時間が止まったような気がして、ただ彼女の口から淡々と告げられる言葉を脳裏に焼き付けた。