第25章 【虎杖悠仁】ときめき
「あ、ここにいた」
入れ替わる形で菜々子がやってきた。
菜々子の額には汗が滲んでいる。
一体部屋では何が起きているのか。
盛り上がっている声がここまで聞こえてくるたびに、中の様子が怖い。
「今ね、傑兄さんと五条さんが伏黒と七海さんを捕まえて4人で歌ってる」
「犠牲者いるじゃん」
「これがさ伏黒君と七海さん、諦めたのかめっちゃ歌ってんの」
「まじで?」
ケラケラと笑う菜々子に信じられないと言う顔をする。
成程、こんなに大いに盛り上がっているのは、あの二人が吹っ切れたからか。盛り上がらない訳が無い。
と、謎の分析をしだすに菜々子は静かに声をかける。
「で、虎杖とはどうなの?」
「どうって言われても、進展なしだよ」
「あのことは話したの」
静かに首を振る。
「言ってないの⁉何やってんのよ、早く言わないと」
「うん……」
「あのね、前にも話したけどさ。ちゃんと言った方がいいと思うよ。大事なことなんだから」
は下を俯くだけで何も言わない。
菜々子はソファに座り、彼女との距離を縮める。
「まさか黙ってるつもり?」
「…………」
「、あんたねえ!!」
「わかってるよぉ!!」
「女は度胸でしょ?私たちがなんのために大勢で誕生日祝ってるかわかってる?」
菜々子や美々子、傑たちがなんのためにこんな大勢で誕生日を祝っているのか。
その理由は、「素直になること」が目的だった。
いつも二人で誕生日を祝っていたがために、なかなか進展もせずに気持ちも言えずにいた。
ならば逆ならどうかと真希は考えた。