第25章 【虎杖悠仁】ときめき
「、これ」
「なにこれ」
「なにって、誕プレ……」
「え……?」
「えってなんだよ」
「だって、これが誕プレだと思ってたから」
は大勢で祝うことがプレゼントだと勘違いしていたようだった。
そんなわけないだろと虎杖は思うが、それを口に出さずプレゼントを開けるように、に言った。
言われた通りに、彼女はラッピングされた包装紙を綺麗に取り、小さな箱をゆっくりと開ける。
「ネックレス……」
「うん、似合うと思って」
箱の中身は赤いバラの付いたネックレスだった。
それを慎重に取り出し、光に当てて眺める。
この微妙な時間に耐えられないのか、虎杖は落ち着きがない。
「これ、どこで買ったの……?」
「どこでもいいだろ、そんなの……」
そっぽをむく虎杖に、は溢れそうになる感情を必死に抑えた。
虎杖が自分のために慣れないアクセサリーショップに入って、自分のために似合うだろうと思った物を買ってきた。
これほどまでに嬉しい事はない。
「恥ずかしかったでしょ」
「だいぶ」
「ウケんね」
「ウケんなよ。俺めっちゃ勇気いったんだぞ」
「へへへへ」
「何その笑い、こわっ!!」
「怖くないし!!」
「じゃあそれ渡したから!!俺部屋戻る!!」
「あ、ちょっと虎杖!!」
ぴゅーっと、世界記録を更新できる速さで廊下を走る虎杖。
その背中をはただ見つめた。
「ありがとう、虎杖」
その言葉は、虎杖には届かない。