第25章 【虎杖悠仁】ときめき
ボウリングをした後のカラオケ店では、五条が半ばやけくそになって歌って、灰原と釘崎と双子が合いの手を入れている。
「ちょっとトイレ行ってくる」
「私も行ってくる」
「私も煙草~」
と真希、そして家入が席を立ち部屋を出る。
出た瞬間に家入と真希はの腕を掴んで、顎をくいっとさせた。
どこぞのヤンキーかなと思ったが、は黙って二人について行き、カラオケ店の外へと出た。
店の裏路地。
ヤンキー座りをして煙草に火をつける家入は、煙を吐き出した後口を開いた。
「思った以上によそよそしいんだね、あんたら」
「それ私も思った」
「だって、仕方ないじゃないですか。付き合ってないんですもん」
ぷくりと頬を膨らます馨に、二人はボウリングでの出来事を思い出す。
4人ずつに分かれた3チームでボウリングをしていた彼等。
と虎杖は同じチームで家入と真希も同じチームだった。
「虎杖、数字が小さいほうが軽いんだっけ?」
「そうだよ。これとか、投げやすいんじゃない?」
「うーん、ちょっと重いけどいっか」
「俺、これ~」
「重くない?」
二人のやり取りを見ながら、真希と家入は盛大にため息を吐く。
何だそのやり取りは、と。
お互いに意識しまくっているのがわかるのに、それ以上距離を縮めようとしない歯がゆさ。
見てるこっちが恥ずかしい。