第25章 【虎杖悠仁】ときめき
放課後。
釘崎と家入と真希はとある場所に来ていた。
「ここだよ、桜ヶ丘女学院」
「家入先輩、ありがとうございます!!」
「つか、私と硝子先輩呼び出すとか何事だよ、野薔薇」
「虎杖に彼女がいるって話になって、気になりました」
「素直か。で、一人で来る勇気がなかったから私たちを連れてきたと」
家入はポケットから煙草を取り出し火をつけようとした。
が、すかざす釘崎がそれを奪い取る。
他校の校門前で煙草を吹かす姿を見られたら、どんな処罰がくるかわかったものではない。
その前に未成年が煙草を吸っている時点で問題ではあるのだが、今はそんなことを気にしてなどいられない。
「私の貴重なニコチンが……」
「あとでカートン買いしてあげます」
「まじ?ツーカートンね」
「いや、ワンカートンだわ」
「それより釘崎、虎杖の幼馴染がどんな奴か知ってんのか?」
真希の言葉に、釘崎は動きを止める。
真希と家入はその反応で全てを理解した。
なにも考えずに飛び出してきたために、虎杖の幼馴染がどんな容姿をしているのか聞き出すのを忘れたらしい。
「虎杖に電話しろ」
「いや無理っす。黙ってここに来ちゃってるんで」
「いいから電話しろよ。無駄骨だろうが」
「夏油なら知ってんじゃないか。あいつの従妹もここの生徒だって聞いた気がする」
「じゃあ家入先輩、お願いします!!」
「あっはは、嫌だよ」
校門前で騒ぐ女子3人を横目に桜ヶ丘の生徒はひそひそと小声で話しながら横を通り過ぎていく。
虎杖や夏油に連絡せずとも、校門から出てくる生徒に聞けばいいのだが、そのことに気づくのは5分経ってからの事だった。
「初めからこうすればよかった」
「意外と抜けてんな」
「真希、それブーメラン」
かくして。
女子3人は見事にお目当ての女子生徒、と出会う事ができた。
ついでに夏油の従妹2人とも。