第28章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【3】
例え想定していた事だったとしても、何も変わらない現状に焦りの色を露わにしている。
あのかっちゃんが、と思うが実際焦らないほうがおかしいのだ。
長い沈黙が流れる。
解決策が一つも見つからない今、どうするべきなのか誰も分からない。
重たい空気だけが彼らにのしかかる。
その時だった。
あの音楽が鳴り響いた。
何度も聞いた旋律に全員が身構える。
次は、誰が、犠牲と、なるのか。
不安、恐怖、焦燥。
様々な負の感情が渦巻く中、"それ"は彼らの前にやってきた。
廊下の奥から近づく"何か"。
闇のように黒い"それ"は、まるで津波のように彼らに襲い掛かってくる。
誰かが「逃げろ!!」と叫んだ。
瞬間、反射的に彼らは一目散に逃げた。
背を向け、必死にただ走り続ける。
最初に"闇"に飲み込まれたのは心操だった。
吸い込まれるように姿を消す心操に気を取られたホークスもまた"闇"の中に消える。
「心操くん!!ホークス!!」
「走れクソナード!!テメェも飲みこま……ッ」
「かっちゃん!!!」
「……クソがっ」
勢いを増す"それ"についに爆豪も飲み込まれ、彼を救けようと手を伸ばした緑谷もまたそのまま"闇"の中へと消えていった。
全てを喰らった"それ"は嬉しそうに、楽しそうに、満足したかのように、何度も何度も蠢き小さく歌を口ずさんだ。
「Who killed Cock Robin?I, said the Sparrow」
(誰が殺した、クックロビン。それは「私よ」と雀が言った)
誰もいなくなった校舎内に、化け物の歌声だけが木霊した。