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【雑多】be there【短編集】

第3章 【爆豪勝己】盲目をつきやぶれ






目を開けるとぼんやりと天井が見えた。
横になっていた私はすぐに飛び起きて紙とペンを探した。
ポケットには無かった。
枕の下にも。
どこにも。
こんな施設は、燃やしてしまわないと、と思っていた。
呼吸して湿度を測る。
湿気は少ない。
今ならやれる。
私なら消せる。
しかしどこにも紙とペンがないのだ。

監視がいない、仲間もいない、私が行動を起こしても私以外罪に問われる者はない、こんなチャンスはもう二度とないのに!
焦っていると誰かが来た。
小さな器を片手で持ち、扉をゆっくりと開ける。
咄嗟に身を構えるが自分を守るための力がない。
殺される前に殺さないと。
だが何もない。
飛びかかろうと体を起こして、足が縺れて転んだ。
侵入者は私を避け、「あ?」と睨みつける。
頭が酷く痛んだ。
燃える炎のような色の瞳を寝そべりながら私も侵入者を睨み付ける。

「何やってんだ、てめぇ」

目があって二秒後、降ってきたのは想定外の呆れ声。
まるで敵意がない。
私が驚いて固まっていると、彼はテーブルに器を置いて、私を助け起こそうとしてきた。
向けられた手を取っていいものなのかどうか、躊躇が邪魔をして動けない。

「四十度越えてたんだぞ」

被験体だろうか?
あるいは実験者?
君も火を起こすのか?
エンデヴァーさんのように。



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