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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第3章 【爆豪勝己】盲目をつきやぶれ






風の音で目を開けた。
夜ではない明るさだったが、晴れの日のように光は差してきていない。
腕を伸ばしてカーテンを開くと案の定空は雲に覆われていて、窓には少しだけ水滴がついていた。
小雨が降っている。
こんな日は朝から憂鬱になるはずなのに。
今朝はそうならなかった。
奇妙な幸福感が胸の中に充満し、引きずっている。
相当夢見がよかったんだなと昨夜の夢を思い出そうとして―――思い出して後悔した。

私はなんてものを見てしまったんだ。
あれは何だ。
願望か。
心で叫んだこの問いがまたよくなかった。
私は気付いてしまった。
願望だ、と!
カーテンを掴む指先に思わず力がこもり、レールからフックが一つ外れた。
正しく張られていた布の端が歪にたわむ。

マジかよ。

私は絶望した。
しかしマジなのである。
私は回想する。
バクゴーが報告書を添削するために私の所へ来た時の感じた驚きと喜び。
パトロール中のバクゴー、昼食を食べている時のバクゴー、寝ている時のバクゴー、いろんな表情を見せてくれることへの嬉しさと特別感。




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