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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第21章 【呪術廻戦】DOOR【1】







そして一斉にどこかへと散り散りになり、姿を消す。
残ったのは西宮一人。
そこへ小学生だったはずの釘崎が、オシャレな服に身を包み歩いてきた。

「あれ、野薔薇ちゃん?久しぶり!!」

ショッピングモールをゆっくりと歩く釘崎の姿を見つけた西宮は、小走りで彼女に近づいた。
釘崎もまた驚いた表情をしたが、それは一瞬のことで次には旧友の姿に笑みを零す。

「桃、お買い物?」
「そそ。子供の服を買いにね」
「あ~、見たよ、インスタで子供の写真。大きくなったわよね」
「今はもっと大きくなったよ。もう一人で立って歩けるようになって。どこにでも行っちゃうから目が離せないのよ」
「大変ね。でも私も早く結婚して子供欲しいな。来年でもう30になるし」
「何言ってんのよ。野薔薇ちゃん、自由で羨ましいって」
「そんなことないって。毎日毎日親から早く孫の顔見せろってうるさくてさ。今時お見合い写真なんて送られてくるんだよ。いい男ならまだしも、全然そんなことないから見てて疲れるし、お前誰だよって言いたくなるし」
「でも、たまに一人の時が恋しくなるよ」
「贅沢者、今幸せなんでしょ」
「まぁね」

西宮は幸せそうに微笑む。
そしてスマホを取り出し時間を確認した後、この後保育園に預けている子供を迎えに行くのだと言う。
子供を預けているこの時間でしか自分の時間を取ることができないという西宮。
忙しく大変で辛い時もあると言うが、それでも彼女の笑顔からは溢れんばかりの幸せな雰囲気が見て取れる。

「今度ゆっくりまた会おうよ。時間作るからさ」
「そんな無理しなくていいのよ」
「全然大丈夫だよ。じゃあ、また今度ね」

二人は手を振って別れた。
小さくなる西宮の背中を見て、彼女の姿が見えなくなるまで、彼女は手を振り続ける。











ザーッ。

テレビの砂嵐のように、目の前のチャンネルが切り替わる。
目を閉じて、目を開ける。たった一瞬の瞬き。
その間に場面はショッピングモールから結婚式場へと移り変わった。




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