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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第21章 【呪術廻戦】DOOR【1】






幸せとは、誕生日の日のような、クリスマスの日のような、夏休みの夏祭りのような、そういう、楽しくて、おもしろくて、嬉しくて、そういうものではないのか。
苦しい事や悲しいこと、辛いことや悔しい事が幸せだなんて、そんなのは本当の幸せとは思えなかった。

釘崎は理解できなかった、硝子の言っていることが。
硝子は理解していた、自分の言っていることが。

硝子は、俯いて唇を尖らせる釘崎を目に映し履いていたズボンのポケットから煙草を取り出した。
慣れた手つきで火をつけ肺に煙を送り込む。

ゆっくりと口から煙を吐き出しながら、

「全部素敵な事だよ、釘崎」

いつもは野薔薇ちゃんと呼ぶ硝子が、名字で自分を呼んだ。
いや、そんなことよりも雰囲気が変わったことが釘崎を不安にさせた。
子供の喋り方ではない。
大人の、自分よりもはるか上の年齢。
そう、例えば、歌姫先生のような。
諭す物言いに釘崎は硝子を見た。

小さい、自分と同じくらいの背丈の女の子が煙草を吸っていて、子供なのに子供じゃないその雰囲気に、釘崎の心に不安と恐怖が押し寄せる。
自分を見つめるその目の下には濃い隈があって、その目は自分に何かを語りかけているかのように、視線を反らすことなくずっと見つめている。



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