第21章 【呪術廻戦】DOOR【1】
「じゃあさ、私の将来の夢聞いてよ」
意気揚々な彼女の声に、真依や西宮、三輪は小さく息を吐いた。
「硝子ちゃんまた受け狙おうと変な事書いたんじゃないの?」
「そんなことしないよ」
西宮の言葉に硝子は首を横に振ってまた笑った。
「問題です。私の将来の夢は何でしょう!!」
「お医者さん?」
「ブー」
「バスガイド?」
「ブー」
「ファッションデザイナー」
「ブー」
いきなり始まるクイズだったが、誰も何も言わずに彼らは硝子の将来の夢を当てようと必死になる。
が、思いつく限りの職業を言ってもなかなか答えにたどり着かない。
「わかった、お嫁さんだ!!」
「あ~、惜しい!!」
一際大きな声で釘崎がそう言った。
どう考えても「お嫁さん」というものは職業ではない。
だが、硝子は嬉しそうに顔をほころばせた。
「ヒントはね、抽象的なやつ」
「何よ、抽象的なやつって」
「私たち8歳だよ」
と、ブーイングを垂れる真依と西宮。
それを聞き流し硝子は自分の将来の夢の答えを発表するために、ゆっくりと息を吸い込み、皆の顔を見渡したあと言葉をその舌の乗せる。
「幸せになること」
「「「「幸せになること?」」」」
「うん!!」
大きく縦に首を振る硝子。
真依、西宮、三輪、釘崎はお互いにお互いの顔を見合わせた。
そして。
「なぁんだ、つまんないの」
真依はそう吐き捨て自分の席へと戻った。
西宮と三輪もまた「そんなことだろうと思った」と彼女の将来の夢を受け流し自分たちの席へと座った。