第28章 【スイカ】かさぶた
チョークさんが来たよ!!
昨日いっぱい謝る練習したよね、練習通りにすればいいんだそれで最後には握手するんだよ。
「チョーク……。こ、この前はひどいこと言ってごめんなさいなんだよ!!」
深々と頭を下げるスイカさん。
足が震えている。
そんな彼女にお友達は応えました。
スイカさんの胸に飛び込み、ペロペロと顔を舐めます。
まるで「こっちもごめんなさい」と言っているみたいです。
「これからもスイカと仲良くしてほしいんだよ」
「わんっ」
「嬉しいんだよ~!!」
二人は泣きながら抱きしめあいました。
周りにいた人たちも嬉しそうに笑っています。
だから言っただろう。
傷は治るんだって。
もとどおりになるって。
スイカさんとチョークさんは満面の笑みで笑い合いました。
ぼくはそれを見て安心しました。
さよならだよ。
これからも仲良くするんだよ。
ぼくのことはきにしなくていいから。
はじめてスイカさんの笑う顔が見れたよ。
それだけでもう、倖せだよ。
「生まれた場所はスイカさんの膝小僧でよかった」
わかっています。
ぼくの声は彼女に届きはしないこと。
でも、それでもぼくは話しかけました。
彼女のことを覚えていたいから、忘れたくないから。
「ぼくに会いたくなったからって、わざと転んだりしたらだめだよ」
そしてぼくはスイカさんの右の膝小僧からいなくなりました。