第28章 【スイカ】かさぶた
「まだ膝小僧が痛むの?」
問いかけても返事はありません。
その代わり「チョークと仲直りしたいんだよ……」と涙交じりの言葉が紡ぐ彼女の本音を聞くことが出来ました。
仲直りがしたいんだね。
でも恥ずかしくてできなんだね、謝ることが。
「チョークもきっと同じこと思ってるはずだよ」
「フランソワが言うにはチョークもスイカと遊びたいって顔をしてるらしいよ」
杠さんとニッキーさんの優しい声がスイカさんの耳に届きます。
「大丈夫だよ!知ってるかな、傷は治るんだよ!!元通りに!!」
だけど、ぼくの声だけはやっぱり届きませんでした。
彼女は涙を拭いて前を向きます。
謝るんだね。
凄く偉いよ。
きっとお友達もお話したかったはずだよ。
大丈夫だよ。
だからもう泣かないで。
笑って見せてよ。
気づいているかな。
ぼくがだんだん小さくなっていっていることに。