第20章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【2】
瞬間。
真っ赤に染まっていた夕焼けは急激に黒い雲に覆われ、強く激しい雨を降らせた。
雨粒たちは容赦なく降り注ぎ、そして全てを溶かしていく。
校舎の壁や窓がどろどろと流れ落ち、机や椅子、黒板にも当たるとそれらも溶けはじめた。
「なんだこれ……!!」
異常な現象に相澤は恐怖に顔を歪ませる。
何一つ理解できないまま、白雲へと視線を向けた。
そして、凍り付いた。
目の前の白雲もまた、皮膚が垂れ下がり溶けていた。
支えを失くした眼球は地面でぐしゃりと潰れ、綺麗に並んでいた歯もばらばらと散らばる。
筋肉も脂肪も骨も血も液状へと変わり、地面にできた水たまりと混ざり合い、"白雲"という人間の形は消えてしまった。
「白雲……!!白雲……!!!」
親友の名を叫ぶも返事など返ってくるはずもない。
何か悪い夢を見ている、そうに決まっている。
そう言い聞かせるが、これが夢でないことはわかっていた。
なぜなら、白雲を亡くした日もこんな雨の中だったから。
ギリギリの精神の中、自分を保っているがそれは時間の問題だった。
奥歯がカチカチと音を鳴らし身体の芯から震えているのか、手足が先ほどから冷えて力が入らない。
「ちがう、ちがう……。こんなの……。おまえはこんなとこで……っ」
ヒーローになるはずの男だった、誰よりも。
誰かを引っ張っていくようなヒーローになっているはずだった。
俺なんかよりも、ずっとずっと―――……!!