第28章 【スイカ】かさぶた
はじめまして。
ぼくの名前はかさぶたと言います。
住んでいる場所は、スイカさんという小さい女の子の右の膝小僧です。
擦りむいたところから生まれました。
それ以来、そこがぼくの住み家です。
とても住み心地がよくてお気に入りです。
なぜぼくがここに住むようになったかというと、それは数日前に遡ります。
スイカさんは、いつも仲良くしているチョークさんという可愛らしいお友達とケンカをしてしまいました。
とっても些細なことです。
でも、彼女たちにとってはとっても重大なことだったんです。
「チョークなんて知らないんだよ!!バカ!!」
本当はそんなこと思っていないのに、つい口からそんな言葉が出てしまいました。
はっと、我に返りチョークさんを見ると今にも泣きだしてしまいそうな瞳でスイカさんを見つめていました。
悲しそうで寂しそうで辛そうなチョークさんの顔を見ていられなくなったスイカさんは逃げるようにその場から走って去りました。
ひどい事を言ってしまった罪悪感に涙を滲ませるスイカさんは、木の幹に足を取られ盛大に転んでしまいました。