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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第20章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【2】






【相澤消太】



体育館に閉じ込められた相澤は、自分の目に映る現実を受け入れることが出来ないでいた。
握っていた捕縛布が重力に逆らわずに下に落ちる。

「……お前、」

声が震えてしまう。
心臓の音が耳のすぐそばまで聞こえる。
全身から汗が吹き出し、呼吸も浅く短い。
息苦しさを感じるも、目の前の人物から目を離すことが出来ない。

そんな、バカな。
そんなはずはない。
なんでここに……いや、そうじゃない。
なんで、なんでオマエが、だってオマエはあの時……。

「久しぶりだな、消太」
「……しら、くも」

淡い空色の髪の毛を逆立て、大きな瞳を輝かせ太陽のような笑みを浮かべる少年は、かつての相澤の旧友だった男だった。
相澤が驚いたのは、ただ単純に男がこの場にいたからだけじゃない。
少年はこの場にいてはいけない、存在するはずもない人間だった。

白雲朧。

相澤のかつてのクラスメイトで友人で親友は、既にこの世にいない死者であった。

だからこそ相澤は驚きと動揺を隠せずにいた。
なにせ白雲は相澤の目の前で死んだのだから。
しかし目の前の男はきょとんとした顔で「どうしたんだ?」と、あの日と変わらない笑顔と明るい声で相澤に近づく。



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