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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第20章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【2】







「とりあえず、できるだけ一人で行動しないようにしよう」
「緑谷の推測が正しいとしたら、ランゴリアーズに似た化け物がいるはずだ。それを倒せばここから出られるんじゃないか」
「バカが。こんだけ探しても俺達以外の人間なんていやしなかっただろうが。それに"個性"が使えない今、化け物と遭遇してどうやってぶっ倒すんだ」
「こらこら、喧嘩しない」

心操と爆豪の間にホークスが割って入る。
出口も見つからない、上鳴も相澤もいなくなった。
どう行動するべきかを先ほどからずっと考えているが、これと言ったものが見つからない。
完全に手詰まりな状態で喧嘩して仲間割れなんてしたくなかった。

「少し休もう。疲れていたらいざという時動けなくなるからね」

ホークスが中心となり、仮眠する組と見張る組で別れることになった。
本当は身体を休めるためベッドのある保健室に行きたかったが、安全面を考えA組にとどまることにした。
壁を背にして眠る緑谷、机に突っ伏して眠る轟、床に寝転がる切島は、最初こそこんな場所で眠れるはずがないと思っていたが、身体は正直なもので数分もしないうちに瞼が重くなり静かに寝息を立て始める。

ホークスはあどけない寝顔の子供達の姿を見て、"個性"が使えたなら剛翼で寒さ対策もできたはずだと自身の羽に目を向けた。
心操は、とても綺麗とはいえない床やひどい臭いが漂うこの空間で、落ち着いていること事態異常であるはずなのに、こんな状況でも生理現象は訪れるんだなと皮肉混じりに笑みをこぼした。
爆豪は、窓の外へ視線を向けると怪訝そうに表情を歪めた。
不気味に闇夜に浮かぶ月は、血飛沫でも浴びたかのように真っ赤な色をしてチカチカと反射している。
校舎のいたるところにこびりついているそれらが、爆豪の脳裏をよぎり全身に寒気が走る。
それを誤魔化すように彼は軽く舌打ちをすると、赤い月を睨みつけた。




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