第20章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【2】
その時だった。
「まるで"ランゴリアーズ事件"みてえだな」
轟が静かに言った。
「ランゴリアーズ?スティーブン・キングの?」
それに反応したのはホークスに轟は小さく頷いた。
「なんだ、その……ら、ランドリー事件って」
「ランゴリアーズ事件。アメリカの映画だよ」
頭にハテナマークを浮かべる切島に緑谷が教えた。
ランゴリアーズ事件。
ロサンゼルスからボストンへ向かう航空の旅客機。
眠っていた10人の乗客を残し、乗員乗客が身に付けていた物を残して消えてしまう。
盲目の少女、ダイナの叫び声で残った乗客が集まり事態の異常さに気付く。
「っていう内容の映画で、いろいろ異常事態が起こるんだけど、"ランゴリアーズ"っていうなんでも食い尽くす怪物も現れて……っていう感じのパニック?映画なんだよ」
「へぇ~。で、その映画がどうかしたのかよ轟」
「なんか似てねえか。俺たちの今の状況に」
そう言われて全員顔を見合わせた。
廃墟と化した雄英高校。
数人の人間が閉じ込められ、そして次々に姿を消していく。
似ているところはない、と言いたかったが言い切れることはできなかった。
あの大きな雷に包まれた瞬間、彼らはこの異様な空間に閉じ込められたのだから。