第19章 【呪術廻戦】DOOR【0】
彼らが座ってどのくらいの時間が経っただろう。
時計もないこの部屋から聞こえるのは彼らの息遣いと、少し動くと聞こえる衣擦れの音だけだった。
時間にして5分くらいだろうか。
沈黙は漸く破られた。
「おはようございます」
一番右端に座っていた男が第一声を発した。
ピンク色の髪の毛に、後ろは狩り上げている男の目はどこか虚ろで、声もまた無機質なものだった。
いや、この男に限ったことではない。
他の人間もまた、目が虚ろで、声は無機質だった。
ピンク頭の男性の声にまるでオウム返しをするかのように他の4人は順番に「おはようございます」と返答する。
「いい天気ですね」
と、ピンク頭の男。
「ええ」
と、団子頭の男。
「本当」
と、オレンジ頭の女。
「いい天気」
と、白い頭の男。
「今日も晴れますね」
と、ポニーテールの女。
「そうですね」
と、全員の声が揃った。
再び静まり返る部屋の中。
またしばらく無音の時間が続いたが、やはりピンク頭の男が先に口を開いた。
「私、今日、夢を見ました」
その言葉に4人は「へえ」と感心を示す。
どんな夢なのか興味を持ったわけではない。
しかし彼らは男にその夢の内容を話すように促した。
彼等の目的はただ「会話をすること」にあるようにも見えた。