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【雑多】be there【短編集】

第19章 【呪術廻戦】DOOR【0】






右も左も前も後ろも真っ白な部屋。
床も天井も壁も何もかもが白色で統一された広間のような場所に、5つの白い椅子が並んでいる。
椅子の真後ろには白い扉5つ並び、それぞれの扉の上に文字が書かれたネームプレートが貼られている。
真っ白な空間は異常とも思える程"物音ひとつ"しなかった。

静寂が広がる広間にどこからカツカツと何かを叩く音が近づいてくる。
白衣を着た女性がポケットに手を入れ、煙草を咥え、ヒールを鳴らしながら広間の扉の前まで歩いてくると、扉の小窓から中の様子を窺った。
誰もいない真っ白い部屋を確認すると、一度目を伏せて視線を反らした。

「彼らが私の元へ来てから5年も経つ。最初はひどいものだったよ」

ふぅ、と煙草の煙をゆっくりと吐き出す。
吐き出された煙は空気中に消え、その代わり少し苦い臭いが漂った。
目の下にできたクマは疲労のせいなのか、それとも元々そうなのか判断はできかねるが、女性が少し疲れているように見えるのは気のせいではないだろう。

「だけど、5年という月日は彼らの人格を変えてしまうのに十分な時間だった。彼らは見事に回復を、いや、この場合回復というより成長というべきかな。私はこれからも彼らと付き合っていこうと思うよ」

女性はもう一度煙を吸って吐き出し、まだ半分以上も残っているそれを携帯灰皿へと押し付け火を消した。

「そろそろ彼らが起きる時間だけれど、よかったら見ていくかい?」

彼女の言葉と同時に、広間の5つの扉が勢いよく開いた。
上下真っ白な服を着た5人の男女は、ぼんやりとした表情で、一点だけをじっと見つめている。
その視線の先には真っ白い椅子が映るっていた。
ゆっくりと扉を閉め、彼らは目の前の椅子へと歩いていき、静かに座った。



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