• テキストサイズ

【雑多】be there【短編集】

第27章 【石神千空】Umbrella







子供の様な無邪気な笑顔で、彼女は白い歯を見せて傘から飛び出した。
せっかく拭いたのに意味ねえだろ。
雨の中、彼女の声が響く。

「赤色のタイル以外踏んじゃだめだよ!」

再び下を見て、そういうことかと納得する。
小学生の低学年の時、俺も大樹と一緒に同じ遊びをしたことがある。
そう、小学生の遊びなんだこれは。
14歳になった今そんな遊びはしない。
だけど彼女は時折声を出しながら笑って赤いタイルだけを踏んでいた。

「マンホールはセーフね」

くるりくるくる。
まるで傘が逆さまになって回るように、彼女はマンホールの上で回った。
自然と笑みがこぼれて、彼女と一緒に雨に打たれながら
赤色のタイルを踏んでマンホールの上で踊った。

いつの間にか雨は止んでいた。
だけど、俺達は傘も閉じずに夢中で赤色のタイルだけを踏んだ。

それが俺達が仲良くなったきっかけ。
と話すようになったきっかけ。





/ 437ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp