第18章 【釘崎野薔薇】ショッピング
その後もショッピングは続く。
ワンピースにネックレス。
彼女の欲しいものはきりがないほどにたくさんあるようで、全てが手に入らないからこそ、眩しく見えるのだろう。
「試着したら?」
「してくる」
今も、タイトスカートとロングスカートで頭を悩ませる野薔薇っちゃん。
どっちも似合うと思うけど、私はロングスカートの方が好き。
「~」
「はーい」
フィッティングルームからのお声がけ。
シャッとカーテンが開けられお披露目タイム。
「タイトいいじゃん。真希先輩みたい」
「まじ?真希先輩みたいにイイ女感出てる?」
「…………出てる出てる」
「何その間。でてねえってはっきり言いなさいよ」
「出てない」
「ハッキリ言われてもムカつくわね」
「どっちにしろじゃん~」
ケラケラと笑った。
野薔薇っちゃんには真希先輩のような雰囲気は出ないだろう。
真希先輩の放つオーラは半端ねえから。
姉御という代名詞そのものだ。
野薔薇っちゃんはどちらかというとヤンキーが似合う。
こんなこと言ったら怒られると思うけど。
「野薔薇っちゃんはさぁ、結構男勝りなところあるから、こういうタイトよりもロングの方がギャップが生まれて男心ぐしゃって掴むよ」
「男心潰してるじゃない、それ」
野薔薇っちゃんは悩んだ末にタイトスカートでもロングスカートでもなく、普通のスキニーパンツを買った。
理由を聞いたら「普通に一目惚れ」だそう。
一目惚れなら仕方がない。
ショッピングとはそういうものだ。