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【雑多】be there【短編集】

第27章 【石神千空】Umbrella







の姿は、同世代の思春期真っ盛りの人たちには気に食わない存在のようで、男女ともに嫌われていたし先輩後輩にも知れ渡っているらしく、誰もそいつに近づくことはなかった。
先生たちも気にはかけるが、あまり積極的に接しようとはしていないようだ。
それは教師としてどうなんだろうとは思ったが、俺自身もあまり関わりたくないと思った手前、何も言えない。

始業式、みんな制服のなか一人だけ目立つジャージ。
ひそひそと声がそこら中から聞こえる。
聞こえていないわけがないのに、は気にしていないのかまっすぐに檀上を見つめている。

なぜかその姿が目に焼き付いて離れなかった。

雨は一日中降り続いた。
放課後、部活に向かおうと渡り廊下を歩いていると、そこから見えるグラウンドではいた。

両手を広げてくるりくるくる。
顔は見えないものの楽しそうなのは伝わってくる。
風邪ひくんじゃないかななんて心配してしまう。

「ほら、あの子だよ」
「ああ。あいつがとかいう子か」
「だから言ったじゃん、頭おかしいって」
「キチガイだわ、ほんと」

俺の横を通り過ぎる女子生徒二人。
くすくすと笑う声がざわざわと胸をくすぐる。

「…………」

少しだけイラつく感情を無視して俺は科学室に向かった。



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