第3章 【爆豪勝己】盲目をつきやぶれ
具現化した文字「龍」は男を飲み込むようにして襲い掛かった。
いくら「龍」とは言え文字は文字だ。
攻撃力はそんなに強くない。
ただ動きを制止したり思考を停止したりするのにはとても便利で、今も男の戦意を喪失させられた。
「いろいろ覚悟してたけど、結果何も起きなくて本当によかった。安心したらお腹空いて来たね。何か食べて事務所戻ろうか」
「いえ、僕はそんなにお腹は空いてな……」
「報告書提出しねぇといけねぇだろうが。あと昨日やらなかった分の仕事も片付けろよ」
「……君はいいプロヒーローになれるよ」
厭味ったらしくそう言えばバクゴーは瞳を吊り上げて噛みついてこようとしたが、デクとショートに全力で止められていた。
だがしかし、バクゴーの言う事も一理ある。
ここでサボタージュしてしまったらバーニンさんにどやされることは間違いなし。
結局私は、そのまま真っすぐ事務所に戻り報告書と昨日の仕事をまとめて仕上げた。
午後になると、私はエンデヴァーさんとインターン生と共にパトロールをしに出掛けた。