第18章 【釘崎野薔薇】ショッピング
「これ可愛い~!」
コスメショップに立ち寄り、野薔薇っちゃんは一目散にお目当ての商品の前にかけていく。
そして目を輝かせて、それを見せる。
正直に言うがなにがかわいいのか私にはさっぱりだ。
全部おんなじに見えるんだもん。
色が少し違うくらい?
ん~、やっぱりわかんないや。
「野薔薇っちゃんならこっちの色が似あうと思う」
「……確かに。あんた、色彩感覚だけはいいからね」
「まぁね~。伊達に色彩の錬金術師とは言われてないからね」
「それを言うなら色彩の魔術師じゃない?」
「そうそう、それ。平成のアンリ・マティスって呼んでくれてかまわんぞ」
「これ買ってくるから待ってて」
「あれ、無視?」
野薔薇っちゃんの手には私が選んだアイシャドウが握られている。
自分がいいと思うものを買えばいいのに、私が選んだやつを買うあたり可愛い人だな。
あのアイシャドウが、大きくて綺麗な彼女の目をキラキラと輝かせて際立てかわいい野薔薇ちゃんを更にかわいくするんだ。
くすぐったいな。