第18章 【釘崎野薔薇】ショッピング
第一印象は最悪だったけど。
第一声が「だっさ」だった時のショックは今でも忘れない。
咄嗟に私も「口わっる」と言ってしまったからお相子様だが。
「なに笑ってんのよ」
「野薔薇っちゃんの第一印象最悪だったなって」
「はぁ⁉どこがよ!!こんなにかわいいじゃない!」
「うんうん、かわいいかわいい」
「何その棒読み。腹立つ」
「原辰徳、ってね」
「うっわ~……」
「ちょ、引かないで。やめて。傷つく」
私から離れて歩く野薔薇っちゃんの腕を掴んで引き寄せる。
そしてお互いに笑った。
銀行に寄り、いくらかのお金を下ろす。
この前言ってきた任務の支払いがされていてよかった。
じゃなかったら、私の銀行口座には1万とちょっとしかなくてまた野薔薇っちゃんに怒られるところだった。
「おまた~」
「どこ行く?私、新しいコスメと服が欲しいんだよね」
「また?この前も買ってたじゃん」
「季節限定もんがあんのよ。ゲームと違ってね」
「おいおい聞き捨てならねえな。今はやりのゲームはなかなか手に入らねえんだぞ。転売ばかりされて定価の何倍もの値段しやがる。転売ヤーがそこらへんにいたら私は迷わず祓って殺してるね」
「口調変わってんだけど……。あと半殺しで留めておきないさよ。とりあえず、マルキュー行こ」
「渋谷?」
「そ」
人が多いところは苦手だけれど。
野薔薇っちゃんが楽しそうだからいいか。