第18章 【釘崎野薔薇】ショッピング
そんな自分でも意味不明な妄想を繰り広げていると、彼女の柔らかい指先が私の頬に触れた。
心臓が一回だけ大きく跳ねて、そのあとはバイブレーションでも仕込んでいるのかと思うほど小刻みに震えて心臓によくない。
「できたわよ」
鏡を渡され完成された顔面をチェック。
ナチュラルメイクのはずなのに、目元がキリッとしていると言うかくっきりとしていると言うか、どういえばいいか分かんないけど、大人っぽい感じに仕上がってて化粧ってすごい、野薔薇っちゃんってすごいと感心した。
選んでもらった服に着替えてかっこかわいく変身した姿にえへへと笑えば「きもっ」と辛辣なお言葉を頂いたうえに高専を出るまでずっと野薔薇っちゃんに文句を言われ続けた。
「徹夜でゲームするとか、肌をいじめてんじゃないわよ」
とか。
「メイク道具持ってるならちゃんとメイクしろ」
とか。
「素材はいいのにそれを無駄にしてる」
とか。
私はそれをニコニコと頷きながら聞く。
野薔薇っちゃんはすごいド田舎出身らしいけれど、そんなのを感じさせないくらいオシャレな女の子。
服のセンスもいいし、強気だし、だけど人情味あふれてる魅力的な人。
東京出身である私が霞んでしまうほど、きらきら輝いていて、彼女と友達に慣れたことが誇らしい。