第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。
「それで、さっきの続きなんだけど」
「……テメェと別れた後、柄にもなく何もする気が起きんかった」
ぽつりぽつりと言葉の雨を降らせる爆豪。
頭で考えながら話しているのか、少したどたどしい姿に昔の彼を重ねる。
本当に伝えたいこととなると、いつもの饒舌はどこかへいってしまうらしい。
だけど、だからこそ、彼の気持ちがダイレクトに伝わってくる。
爆豪は言った。
一体何が私を不安にさせていたのか、自分のどこに不満を抱えていたのか、ずっと考えていたと。
何人か付き合ったが長続きはしなかったと。
そして今日、私の声を聞いて好きだと再確認したと。
「何年もこんな風に誰かを諦めきれずに想うなんて女々しくてカッコ悪くてどうしようもねえな」
と自虐的に爆豪は笑った。
女々しいだなんて、カッコ悪いだなんて、そんなことない。
爆豪の紡ぐ言葉の一つ一つに心が熱くなる。
あの爆豪が、こんなにも好きでいてくれる。
その事実に、涙を抑える事なんでできるはずもない。