第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。
「嘘つくの下手だな、テメェは。なんかあったろ」
ほらやっぱりバレた。
いや、バレて欲しかった?
「嘘じゃないよ。本当に間違いなんだって」
「んで、なにがあった」
「人の話し聞いてよ」
「だから今聞いてやるつってんだろ」
全然聞いてないじゃん、と文句を言いそうになったけど
結局私は爆豪に今日会ったことを全て話していた。
私が話している間、爆豪は合相槌を打つだけで余計な詮索や水を差すような事は言わなかった。
付き合っていたころも今みたいに黙って話を聞いてくれたっけ。
昔と何も変わっていなくて安心すると同時に、これ以上彼に甘えてはいけないと我に返る。
彼女さんにも悪いし。
「話きいてくれてありがとう。もう切るね」
そう言って切ろうとした時、「テメェの話だけで終わらせんな。俺の話も聞け」と少し強い口調で爆豪が言った。
あまり悩み事や弱さを見せることのない彼のまさかの発言に電話を切ろうとした手が止まった。
もう一度スマホを耳に押し当てる。
何かあったのだろうか。
ヒーローという職業はなにかと辛いから、私みたいに気持ちを吐露したくなったのだろうか。
それとも、まったく関係のない話だったりして……。
例えば、結婚報告、とか……。
うわ、それはあまり聞きたくないな。
素直に祝福できる気がしないもん。