第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。
「なんのためのチームアップだと思ってるんだ。絶対に捕まえなきゃいけないヴィランだったんだぞ。そんなに自分の手柄にしたかったのか?」
そんなことない。
手柄とかどうでもいい。
ただ、捕まえなきゃって思ったら周りが見えなくなった。
「何年ヒーローやってんだ。まだ学生気分なのか?ならさっさとやめて違う職業を探すんだな」
「申し訳ありませんでした」
頭を下げることしかできずに、所長からは「今日は帰れ」と命令され素直に従わずを得なかった。
重たい足取りで家に着き、布団に横になる。
ぐるぐると脳裏を過る失態に死にたくなってくる。
殺された少女たちの保護者は一日も早い逮捕を望んでいるのに、私は一体何をやっているんだろう。
誹謗中傷されても文句は言えない。
こんな時、誰かに話しを聞いてほしい。
そう思った瞬間、数年前に別れた彼の顔が過った。
バカか、今更連絡なんて。
着信拒否しているかもしれないじゃん。
違う、そうじゃなくて……。
付き合っている人がいるのに元カレからの連絡とか迷惑じゃん。
失礼じゃん。
ありえないじゃん。
そんな思考で埋め尽くされる。