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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。






爆豪と別れて数年が経った。
少しずつ彼と過ごした時間が思い出となって消化し始めた頃、爆豪の熱愛報道がニュースに流れて来た。
人気の女優と付き合っているようで、一緒に歩いているところや食事をしている様子などが取り上げられていた。
ニュースキャスターは「お二人ともお似合いですね。このまま結婚なんてこともあるんでしょうか」と陽気に話していて、そのままテレビを消した。
心がズキッと痛まなかったわけじゃない。
でも、こうなることを望んだのは私で、何を今更傷つく必要があるというのか。
これで良かった、自分に言い聞かせて「よかったね」と呟いた。

暫くは彼らの報道でもちきりだったマスコミは、数か月もすればほとぼりも冷めたのか、それ以上の情報が流れてくることはなかった。
たまにテレビに映る爆豪に野次馬が「結婚しないの?」と揶揄うように言葉を投げるが、その度にキレ散らかすというお決まりの流れがあるだけ。
同棲しているなんて噂があるけど、推測の域を出ない。

そんなある日のことだった。
私はとんでもないミスをして事務所の所長からこっぴどく叱られた。
チームアップで一緒になった先輩ヒーローの邪魔をしてしまい、確実にヴィランを確保できたのに取り逃してしまったのだ。
ヴィランは最近巷を騒がせている幼女誘拐殺人鬼。
神出鬼没でいつどこに姿を現すかもわからず、漸く手掛かりを見つけ確保までありつけたのに、私の失態で逃げられた。



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