第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。
下を向いて何も言わない私の頭を爆豪は優しく撫でた。
「言わねえとわかねえよ」
「……ごめんね」
それ以外、なんて言えばいいか分からなかった。
爆豪は粗暴な言動に反してとても誠実な人。
才能マンで努力家で、面倒見がよくて律儀で繊細で、とても優しい人。
私の強さも弱さも私以上に理解してくれた。
どうしようもない私を愛してくれた。
ちゃんと私の事を見てくれていたのに。
理解っていたのに。
怖かった。
いつか彼に見放されるのではないかと。
そんなこと爆豪がするはずないと知っているのに。
信じられなかった。
信じる強さが私にはなかった。
「ごめんね」
そう呟く私を彼はただ黙って見つめる。
舌打ちするのかと、罵倒の一つや二つ浴びせるものだと思っていたのに、彼は深いため息を吐くだけだった。
そしてもう一度頭を撫でるとそっとその手を放した。
触れていたところから温もりが遠ざかり、寂しくて涙が溢れそうになった。