第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。
一抹の不安が私を襲い怖くなった。
爆豪の邪魔をしたくない。
重い女になりたくない。
嫌われたくない。
傍にいて欲しい。
ずっと一緒にいたい。
矛盾した想いがずっとずっと私の心を支配する。
爆豪と一緒に出掛けても、一緒の時間を過ごしても、楽しいけど楽しくなくて、ああ、もう潮時なんだと思った。
大好きだけど、今でも好きで好きで仕方がないけど、これ以上はたぶん爆豪をダメにしてしまう。
そう思ったから、私は彼に別れを切り出した。
「別れたい」
仕事終わり、彼を私の家に呼んだ。
居間のソファで寛ぐ彼の前に正座し、震える声でそう言った。
「は?何言っとんだ、テメェ」
彼の目は大きく見開かれ、次第に吊り上がっていく。
私は唇を噛みしめ、静かに言葉を落とした。
「……私と、別れてほしい」
「ふざけんな」
怒りを露わにする彼に「ふざけてない。別れてほしい」と告げる。
「なんでだ。理由によっちゃ断る」
理由なんて、とても自分勝手なものだよ。
言えるわけないじゃん。
言ってしまったら優しい人だから「気にすんなアホ」とか言って私を抱きしめるでしょ。
私はその優しさに甘えてあなたの可能性を潰しちゃうかもしれない。