第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。
それからの毎日は本当に楽しかったし幸せだった。
学業優先で演習やインターンなどでお互い忙しく、時間がなかなか合わず恋人らしいことはほとんどできなかったけど、それでも一緒に勉強をしたり、たまにどこかに出かけたりするだけでよかった。
爆豪は想像よりも律儀な人間で、誕生日やクリスマスといったイベントには必ずプレゼントをくれたし、やはりこの男は才能マンなのかセンスがいい。
言葉は乱暴だけど面倒見いいし、才能マンなうえに努力家だし、意外と優しいところがあるし気を遣えるし、聡明だしかっこいいし、日に日に爆豪への好きが溢れてしかたがなかった。
大喧嘩することもあったけど、大好きだという気持ちは変わらず、私達は別れることなく雄英を卒業した。
最初こそ私たちはサイドキックとしてヒーロー活動をしていた。
しかし、爆豪は早々に独立し事務所を立ち上げた。
学生時代から良くも悪くも目立っていた爆豪は、プロヒーローになってからもっと目立つようになったし、誰よりも活躍している姿が連日テレビで話題になっている。
かくいう私はというと、目立った活躍はなくただ日々の軽犯罪を取り締まっているくらい。
比べるものではないと頭ではわかっている。
わかっているけど、彼と私の"差"が重圧としてのしかかってくる。
学生の時は感じなかったのに、どうして……。
ヒーローとして活躍し前を進んでいく爆豪はこれからどんどん手の届かない存在になるだろう。
そうなった時、平凡でなんの取り柄もない私が隣にいたのでは、期待されている彼の将来を邪魔するのではないだろうか。