第23章 【呪術廻戦】DOOR【5】
外では拳銃の音に驚いた野次馬たちの悲鳴やリポーターの叫ぶような報道、警察の怒鳴る声で混沌としていた。
しかし、中はそんな混沌とした外とは違い静寂で包まれていた。
その静寂を破ったのは、硝子だ。
「これは……この銃は……」
「あー、いってぇ」
「なんで、なんで撃たれたのに、無事なんですか」
鳩尾辺りをさする甚爾に真依と硝子は困惑の色を隠せない。
「あなた……あなたはっ!!」
「どうしたよ、支店長さん。玩具の銃なんか握りしめちゃってよぉ」
ケラケラと笑う真希。
硝子は膝から崩れ落ちた。
一世一代の勇気を振りしぼった結果が、これだ。
「BB弾か。意外といてぇな」
「とか言って。平気そうな顔してんじゃねえかよ」
甚爾と真希は顔を見合わせるとにやりと笑った。
項垂れる硝子の前に真依は近づいた。
「良かったです。支店長が犯罪者にならなくて。よかったです」
何度も何度も。
硝子に言い聞かせるようにそう言った。
再び静寂に包まれる銀行内だったが甚爾の「これからどうすんだよ」という一言に、硝子はゆっくりと立ち上がった。
「私は、自首します」
「……支店長」
「こういうとおかしいけど、満足してるんです。ものすごい興奮が心地よい快感となって私の中に残っているんです」
「別にアンタが罪を被る必要なんてねえだろ」
真希は床に転がる2億の入ったバックを肩にかけた。
「何もしてないだろ、アンタは。最期まで人質だっただけ。銀行強盗しようとしたのは私と……アイツの二人だけだ」
「そんな……そんなわけには!!」
「いいんじゃねえのか、それで」
甚爾もまた硝子に向かってそう言った。
そして今度は真希に向かって言葉を投げる。