第3章 【爆豪勝己】盲目をつきやぶれ
自室に戻り、私はヒーロースーツを脱いだ。
怖くない、なんて言えば嘘になる。
何時だってヒーローは命がけだ。
いつ死んでしまうかもわからない。
だけど、死ぬ覚悟は全然ない。
何か事件が起きて出動するたびに思う。
生きて帰れますようにって。
今回も願わずにはいられない。
死にませんように、と。
私服に着替え、長い髪の毛をブラシで軽く梳かし、メイクも少しだけして所長室に戻る。
被害に遭った女性のほとんどは体型のわかりやすい服装をしていた。
だから私もラインが分かりやすい服をわざと選んだ。
これで司堂が私を狙ってくれたらいいのだけど。
「すみません、準備に少し時間がかかりました」
所長室に戻れば、エンデヴァーさんと塚内さんが司堂がよく出没する場所をいくつかピックアップしてくれて、その辺りを重点的に歩くよう指示を出してくれた。
そのどれもは殺人現場付近からさほど離れていなかった。
バーニンさんは通信機の準備をしてくれていたようで、私にその一つを渡した。
「少しでも異変があったら連絡するんだよ」
「わかっています」
「絶対に死なせないから安心して」
「ありがとうございます、バーニンさん」
私は通信機を耳にはめながら護衛を任せられたデク、バクゴー、ショートに向き直り、
「護衛、頼んだよ。3人共」
「はい!!」
「はい」
「応」
小さく笑みを零した。