第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。
「おい」
その時だった。
後ろから声を掛けられ振り向くとそこには爆豪の姿があった。
こうして顔を合わせてまともに話すのなんていつ以来だろう。
以前よりも筋肉もついて背も伸びてより一層かっこよくなった彼に、無意識に顔が熱くなる。
「これはA組のもんだ……」
「ちょっと!」
爆豪を見た瞬間、さっきまでの爽やかな笑顔は一体どこへ行ったのかと思うほど物間の顔が歪んだ。
しかし、それも一瞬のことで拳藤によって撃沈させられ引きずられて行った。
遠巻きに私たちの様子を窺っている面々の視線を感じながら、私はできるだけ平常心を保ちながら「どうしたの?」と聞き返した。
「昼休み、面ぁ貸せ」
「へ?」
「返事返すわ」
心臓が跳ねた。
忘れてなかったんだ。
出来れば忘れて欲しかったけど。
ていうか、ずっと考えてくれてたんだ。
なんか、なんか……ちょっと嬉しかったりするんですけど。
「わかった」
爆豪は私が頷いたのを確認するとA組のところへと戻って行った。
その背中を見送り、私は遠巻きに私を見ていたクラスの子達に抱き着いた。
返事がもらえる事が嬉しくて怖くもあると言ったら「どっちに転んでもたくさん話聞くよ」となんとも優しい言葉を貰った。