第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。
それから数か月が経ったが、爆豪からの返事は一向にない。
もしかしたら忘れているのかも。
催促するつもりはないし、忘れているなら忘れているでそれはそれでよかった。
そういうことだったんだって割り切ることが出来るから。
「行動は大胆なくせに意外と繊細だよね、君って奴は」
この日はA組と一緒に合同演習の授業の日だった。
私が爆豪に告白をしたという話は、次の日には学年全体に広まったが、流石雄英と言うべきだろうか、変に騒ぎ立てるひとはごく一部の人間だけだった。
そのごく一部に物間は入っている。
でも、それ以上揶揄ってくる様子はなかったから、腐っても雄英の生徒だなと感心した。
大きなモニターで戦闘訓練をしている生徒の様子を見ながら、物間がそう言ってきた。
「待っているだけなんて、らしくないんじゃないか?」
「そう言って、物間は私がフラれるのを期待してるんでしょ」
「まさか!君は僕という人間を誤解しているよ。確かに僕はA組が気に入らないさ。でも、それ以上に僕はB組のみんなの幸せを願っているんだよ」
僕は、B組のみんなが大好きだからね。
いつもの嫌味と皮肉たっぷりの笑顔ではなく、心からの笑顔に私は何も言えなくなった。
物間は本当にB組が好きなんだな、私もだけど。