第23章 【呪術廻戦】DOOR【5】
「あ、やべ」
自分のミスでサリンの入った袋を握りつぶした甚爾は、その場に似つかわしくない間抜けな声を出した。
そして、ポケットからもう一つ袋を取り出し真希たちに突きつける。
「舐めたらこうなるってことだ。覚えとけ!!」
パシャン。
再び、甚爾の馬鹿力により袋は破け直哉の身体を濡らす。
「あ、やべ」
再放送だろうかと見間違うほど先ほどと同じ展開が繰り返される。
「甚爾さん、何してんねん!!」
「ただの水だってバレちまったな」
いたずらっ子のような笑みを浮かべる甚爾の襟首を全身びしょ濡れの直哉が掴む。
水。
ただの水。
その言葉に、銀行内にいる全員が緊張の糸を解いた。
「伏黒君!!今だ!!拳銃を奪うんだ!!」
「はい!!」
「させるか!!」
「行け、直哉!!」
「わかってはります!!」
サリンがただの水だと分かった今。
本当の武器は床に転がる拳銃のみ。
それを先に手にした者が、この場で優位に立てる。
皆がそう思った。
だから一斉に拳銃に向かって走り出す。