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【雑多】いつかどこかで【短編集】

第17章 【爆豪勝己】触れたい、確かめたい。





「………ちょっと来い」

先ほどまで怒りで震えていた爆豪だったけど、ふと真面目な表情になって席を立った。
てっきりその場でフラれるものだと思っていた私は動揺を隠せずにおろおろしていると「かっちゃ~ん、どこいくんだよ~」と上鳴がからかうように彼の背中に声を掛けた。

「うっせえぞアホ面!!黙ってろ!!!」
「えぇ~……、そこまで言われることある?」
「早くいかねえと爆豪またキレるぜ!」
「あ、うん……」

爆豪と一番仲のいい切島が「早く行け」と急かすもんだから、戸惑いながら私は爆豪の背中を追いかけた。
教室をでて、階段を降りた踊り場に爆豪はいた。
制服のポケットに手を突っ込んで、私を睨んでいる。
その目に怯えてしまったのは、私のしたことに私が負い目を感じているから。
階段を降りて、私は爆豪に謝った。

「爆豪、ごめん……。教室であんな……」

彼はプライドの高い人だ。
自分が目立ったりすることは嫌いではないが、変に目立った李揶揄われたりすることを極端に嫌う。
それをわかっていながら私はみんながいる前で告白をした。
キレられて当然だし、最悪嫌われるかもしれない。
でも、そうさせたのは私だからどんな結果だろうと受け止めなきゃいけない。
なにより、フラれるの前提だったわけだし。
なんて、自分にたくさんの言い訳を言い聞かせていると、爆豪がゆっくり口を開いた。

「返事」
「え?」
「考えさせろ」
「え、あ……、うん」

それだけ言って、爆豪は教室へと戻った。
横を通った時、ふわりと彼の匂いが鼻を掠め頭がくらくらした。
めちゃくちゃいい匂い……。

ってそうじゃなくて!!
え、今……考えさせてくれって言ったよね。
フラれると思っていたのに、まさかの返事に脳が混乱している。
これって、もしかして……。
そこまで考えて首を横に振った。

「爆豪に限ってそんな……」

乾いた笑みを浮かべ、私もまた教室へと戻った。



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