第16章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【1】
頭ではわかっていた。
正義感と責任感の強い2人が一言も言わずにいなくなるなんてことは考えられない。
ましてこの異常事態で。
だからこそ予感はしていた。
ぴったりと閉まっている体育館の扉は開かないだろうということを。
相澤は扉に手をかけ左右に開こうと力を入れた。
だが、相澤の予想どおり扉は何かで固定でもされているかのようにびくりとも動かなった。
「……いなくなったのはあいつらじゃなく、"俺"の方か」
そう考えた方が辻褄が合う。
さっきのメロディーが流れると、空間が分断されるのか"もう一つ"の空間へ飛ばされるんだろう。
でなければ説明がつかない。
となると一度目の時、既に上鳴は……。
「この空間にいたらいいんだけどな。さて、どうやってここから出るか」
扉が開かない今、脱出する方法を考えなければいけない。
強い衝撃で開けることができれば簡単だが、生憎オールマイトのようなパワーを相澤は持ち合わせていない。
仕掛けのようなものがないか調べようと再び扉に手を掛けた相澤は、ぴたりと動きを止めた。
誰もいないはずなのに背後から気配がする。
上鳴かと思ったが、その可能性は低い。
相澤は捕縛布を掴み、いつでも拘束できるように構え後ろを振り向き、そして信じられないものをその目に映した。
「……お前、」
相澤の目の前にいたのは―――……。