第16章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【1】
その時。
体育館に陽気な音楽が流れた。
それはA組に避難していた時に聴いたメロディーと同じもの。
どこかで聞いたことのあるような音楽に相澤は思考を巡らせるがそれは一瞬のこと。
体育館の入り口に待機させていた教え子のことを思い出し、彼らの名を呼んだ。
たかがメロディーごとき、普段であれば気にも留めなかっただろうが状況が状況だ、小さな異変にも機敏になってしまう。
「切島!心操!」
しかし、返事は返ってこない。
相澤の声だけが体育館に反響する。
その事実に、相澤は焦りを見せる。
鉛を飲み込んだと錯覚するほど腹の底が重たい。
「切島!!心操!!返事をしろ!!」
切羽詰まった声だけが相澤の耳に届く。
どういうことだ、さっきまでそこにいたはずなのに。
あいつらが勝手にいなくなるなんて……。
慌てて入り口に向かうがやはり2人の姿はなかった。
もしかして先にA組に戻ったのか。
それならそうでいいが、何故俺に言わない。