第22章 【呪術廻戦】DOOR【4】
「流転、という言葉をご存じですか?」
「流転?」
「じゃあ、輪廻という言葉は?」
「それなら知っているよ。生まれ変わりという意味でしょう」
"何か"は言った。
「霊魂は不滅」というインドでの考え方だと。
だが仏教では、三界六道に永遠に生死をくり返して永遠に苦しむと唱えている。
そう、言った。
「それが何?」
"何か"が何を言いたいのかが分からない夏油は眉間に皺を寄せた。
「もう一つ。"チャート占い"をご存じですか」
チャート占い。
誰でも一度はやったことがあるかもしれない。
「YES」の矢印に分岐していく占いのこと。
「簡単にいうと、アナタはチャートの上を輪廻しているんです」
「は?」
「アナタの答えは今まで"NO"しかなかった。"NO"の答えがチャートの上を輪廻しているんです。アナタは永遠に"NO"を選び続ける。永遠にゴールには辿りつけない。どこかで"YES"を選ばない限り、アナタはずっと流転を続けるんです」
"何か"の言葉に、夏油は何を思うのか。
真っ黒い顔の"何か"を見つめる。
一体目の前のこいつはなんなのか。
何度も思った疑問が、先ほどまでよりもずっと色も重さも増した。