第22章 【呪術廻戦】DOOR【4】
「別れたんですか?」
「なるべくしてなったっていった感じだよ。お互いにそれがショックってこともなかったしね。……ただ、無性に家にはいたくなかった」
洗濯物が少ないとか、お風呂上りにすぐにお湯の栓を抜いてしまうとか。
部屋で一人でいることを感じる、それを気にしている自分が嫌だった。
だから。
「2,3日旅行に行こうと思ってね」
「どこに行ったんですか」
「さぁ。どこに行ったんだろう。どこでもよかった。ぼーっとできる場所さえあれば。結局、全然ボーっとできずに旅行の途中で帰って来てしまった」
家に帰って部屋に入ろうとしたとき、夏油は気が付いた。
部屋の鍵が開いているということに。
夏油が驚いて突っ立っていたら玄関の扉がゆっくりと開いた。
姿を見せたのは、部屋を出て行った彼女だった。
照れくさそうに笑う彼女はたった一言「お帰りなさい」って言った。
「びっくりした……。何してんの?」
「料理をしていたのじゃ。もうすぐできるぞ」
「だって私達……」
「とりあえず中へ入るのじゃ」
ニコニコと彼女は笑って、夏油の腕を引いた。
部屋の中を漂う臭いに鼻を引く尽かせた。
それに気づいた彼女はにやりと口角を上げる。
「オマエの好きな蕎麦を作っておるぞ!!しかも手打ちじゃ!!」
「………」
「蕎麦湯も作るからな!!」
「……理子」
「あとは……トッピング何がいいかわからなかったが、とろろ、納豆、のり、胡麻、柚子胡椒、好きなの選んでくれ!!」
「理子!!」
夏油の声に、彼女―――天内理子は下を向いて唇を噛んだ。
そして声を震わせ、ゆっくりと夏油を見上げる。