第22章 【呪術廻戦】DOOR【4】
夏油傑には、大事に思っていた女性がいた。
3つ年下の女性が。
彼女との出会いはまるで少女漫画のように最悪だった。
「変な前髪じゃ」と夏油を見て彼女はそう言った。
「変な喋り方じゃ」と夏油は彼女の喋り方を真似た。
はじめこそ喧嘩ばかりをしていた。
いや、喧嘩と言うよりはじゃれ合いに近いだろう。
必然とでもいうべきか。
二人はいつしかお互いに惹かれあい、そして付き合いはじめ同棲も始めた。
休みの日は一緒に映画を観たりデートをしたりした。
仕事がある日でも必ず朝食と夕飯は一緒に食べることを欠かさなかった。
そんなごく普通のありふれた幸せを、二人の時間を過ごしていた。
でも、そんな幸せは長続きはしなかった。
言ってしまえば簡単なことだ。
彼女は許せなかった。
夏油が夏油自身の犯した過ちを許せない夏油を許せなかった、嫌気がさした。
ただ、それだけのこと。
お互いに言いだすまでもなく察していた。
「それじゃあ」「うん」と、たったそれだけの受け答えで二人は他人になった。