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【雑多】be there【短編集】

第22章 【呪術廻戦】DOOR【4】







「アナタはここに居てはいけません」
「……誰だ、オマエは」

目の前には五条袈裟を着た"何か"がいた。
顔は真っ黒に塗りつぶされていて、表情が一つも分からない。
表情どころか男か女かさえも分からない。
その"何か"は夏油に向かって「ここから早く立ち去りなさい」と優しい口調でそう告げた。

「………先ほど同じような事を言われたよ。この扉を開けるな、ともね」

自嘲気味に笑いながら扉を指さす。
今来た道はどこにもない。
つまり戻る道はない。
どうするべきなのか。

「ここに居てはだめで戻る道もない。……私は一体どうしたらいいんだ。どこに行けばいいんだ!!」
「簡単ですよ」

夏油の叫びを遮るように、凛とした声が響く。

「扉を超えればいいんです」
「なんだって?」
「だから、扉を超えればいいんです」
「だってこの扉は……」
「その扉は、BOUNDARY!!」
「境界って意味ですよね」
「あ、ボケてくれないんだ」

ボケてくれると思っていたのか、"何か"は困ったようなしぐさをして笑ったようなそんな気がした。
不思議なことに、夏油には"何か"の表情や考えていることがなんとなく理解できた。
表情が見えないのに。
不思議に思いながらも、夏油は「境界は超えちゃいけないんだろう」と"何か"に質問をぶつける。

「なら、私がアナタに教えましょう。私がそっとアナタに教えてあげます」

ゆっくりと"何か"は夏油に近づいてくる。
怖い、という恐怖は一切なかった。
恐怖はなかったが、得体の知れない不気味さは感じていた。
夏油は少しだけ後ずさるも、"何か"は気にすることなく夏油の間合いまで入り込んだ。





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