第22章 【呪術廻戦】DOOR【4】
「ハウンドドック?」
「へ、なんで、え、どうして、え、なんで、どういう……えぇ……」
まさか2回も聞き間違いをするとは思っていなかった灰原は動揺を隠しきれない。
わざとなのかそれともマジなのか。
確かめたくても少しだけ怖くて、灰原はゆっくりともう一度扉の文字を読みあげた。
「ば、う、ん、だ、り、い!!!!」
「BOUNDARY?」
「よかった。通じた」
「意味は?」
「…………………………………わかりません!!!!」
元気よく素直に応える灰原に夏油は思わず笑った。
「"境界"って意味だよ」
「なんだ、知ってるんじゃないんですか」
「すまないね。ちょっとからかってみたくなって」
「夏油さんらしいです。それより、その扉は超えてはいけませんよ」
「どうしてだい。さっきから同じことを言っているけど」
「こっちとそっちは違うからです。足を踏み出したらもう二度と戻ってこれない。つまり、"一方通行"なんです」
一方通行。
その言葉に夏油は眉を寄せた。
灰原はニコニコと夏油を見つめる。
「もう一度言います、夏油さん。その扉は超えちゃいけません!!」
そう言って、灰原は姿を消した。
一人取り残される夏油は、自分の後ろに現れた扉へと近づく。
開けるなと言われたら開けたくなるのが人間の心理。
夏油は、ドアノブに手を伸ばし数ミリの所で止まった。