第22章 【呪術廻戦】DOOR【4】
その時。
「何やってんですか、みんな待ってますよ。早く行きましょうよ」
レッドが夏油を迎えに来た。
「行かないよ。私は」
「どうしてですか?」
「どうしても何も行かないよ」
「なんでですか!!!!」
いきなり大声を出すレッド―――灰原を夏油はじっと見つめる。
そして小さく口を開き、彼に向って言葉を投げた。
「…………よかったね、皆と仲良くなれて」
「はい!!!ありがとうございます!!!」
先ほどとは打って変わって、灰原は満面の笑みでにこりと笑う。
その笑顔に夏油は複雑そうな表情を一瞬みせたが、柔らかく微笑んだ。
「じゃあ、僕はもう行きますね」
ぺこりと頭を下げた灰原だったが、何かを思い出したように夏油の後ろを指さした。
「その扉。その扉は超えちゃいけませんよ」
ゆっくりと振り向くと、先ほどまではなかった白い扉が夏油の前に現れた。
扉には「BOUNDARY」という文字が書かれている。
「どうして、超えちゃ……」
「その扉は超えちゃいけません。その扉は……BOUNDARYだからです」
「………パウンドケーキ?」
「へ?」
予想外の返答に灰原は間抜けな声を出した。
至極真面目な顔で夏油は灰原を見つめる。
自分の言い方が悪かったのかなと心の中で反省をしながら、灰原はもう一度扉に掛かれている文字を読み上げた。
今度はさっきよりも声を張って。
「BOUNDARY!!」
どや顔で決め顔で口角を少し上げる灰原。
夏油は少し間を置いて。