第3章 【爆豪勝己】盲目をつきやぶれ
「私に、"囮になれ"ってことですね……?」
「犯人はわかっているのになぜか捕まえられない上に女性警察も何名か遺体として発見された。彼女たちは脅え切ってしまい警察内部でもこれ以上犠牲を出すわけにはいけないと……」
「ヒーローに声をかけた、と。……こんなこと聞くのもあれなんですが、何故私なのですか?ミッドナイトさんとかMt.レディさんとかいたでしょう」
「テレビでの露出が多い女性ヒーローは警戒される可能性があると判断し、露出が少なく若いヒーローとなった時名前が挙がったのがあなたなんです」
確かに私はテレビには全然でないけど。
だったらバーニンさんでもいいのではないか。
しかも"囮"だというならきっとヒーロースーツは着ないだろうし、だったらなおさらテレビの露出とか関係ないのでは。
と、言おうとしたが静かに口を閉じた。
一般市民だけでなく女性警官までもが犠牲となっている。
なんのためのヒーローなのか。
私の協力で犯人が捕まえられるのなら、囮になるくらいなんてことない。
「分かりました。引き受けます」
「君を身の危険に晒してしまうことを許してほしい」
「許すも何も。市民の平和を守るためにヒーローがいるんだから、危険と対峙するのは当たり前でしょう。謝らないでください」
「ありがとうございます」
「一応詳しい内容が知りたいので、資料もらってもいいですか?」
「ああ。これが資料だ」
塚内さんから資料を受け取り、簡単に目を通そうとしたところエンデヴァーさんに名前を呼ばれた。
「お前を一人で行かせるつもりはない。護衛を何人かつける。安心しろ」
「死にそうになったら必死で助けてくださいよ。私まだ死にたくないんで」
「わかっている」
くすくすと笑えばエンデヴァーさんも少しだけ安心したのか小さく笑みを零した。