第21章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【3】
『"あの人"ならなんて言ったろうな。少なくとも、自殺教唆なんてしないだろうなぁ』
"それ"楽しそうに嬉しそうに軽快に笑う。
『せいぜい立派なヒーローになれや。緑谷出久の影に怯え、緑谷出久の背中をいつまで追い続けろ』
寄りそうように、"それ"は爆豪の"弱さ"に触れる。
気づきたくなかった、知りたくなかった、見たくなかった、自分の中の柔らかい部分。
"それ"はゆっくりと爆豪の耳元に近づくと、優しい声で囁いた。
『テメェはどこまで行っても、いつまでたっても、緑谷出久の金魚の糞でしかねぇんだよ』
視界が歪んだ。
爆豪の瞳を薄い透明な膜が覆い、そして一粒二粒と零れ落ちる。
止まることない雫たちは地面にシミをいくつも作っていく。
立がることもできずに爆豪はゆっくりと地面に横たわる。
どこにも行くな。
行かないでほしい。
俺はお前と―――。
口を開いてはみたが、言葉になってはくれず、爆豪の思考の中に閉ざされた。