第21章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【3】
無意識だった。
気づいたら身体が動いて落ちていく彼の手を掴もうとしていた。
しかし、爆豪の手は空を切るだけで重力に逆らわず真っ逆さまに落ちていく彼をただ見つめる事しかできなかった。
ぐしゃり。
その音が耳にこびりついて離れない。
「うそ、だろ……」
『嘘じゃねえ』
膝の力が抜け、地面に座り込む爆豪の背後から声がした。
振り向く気にもなれなかった。
振り向いたところでそこに誰もいないことはなんとなくわかっていた。
『テメェが殺した。テメェのせいで死んだ』
「……オレ、は」
『テメェのくだらねえ自尊心を保つために、テメェがあいつを追い詰めたんだ』
違う。
とは、口が裂けても言えなかった。
わかっていた、爆豪自身そんなこと。
見ないようにしていた、知らないふりをしようとした、認めたくなくて、拒絶して自分を守ることに必死だった。
『ヒーロー希望が聞いて呆れる。なんで市民を守るヒーローが自分守ってんだ?対象が違ぇだろ。なぁ?』
「…………」
『しかも自殺教唆とは!!ヒーローがする事じゃねぇよなぁ!!』
「…………ッ」
『未来ある若者のしかも幼馴染の命を奪っておいて、それでもヒーローを目指すのか?ヒーローになれるって本気で思ってんのか?』
"それ"の声はどんどん大きくなり、重くなり、爆豪の心に浸食していく。