第21章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【3】
何もできないクソナード。
そこらへんに転がるただの石っころ。
彼のことをそんな風に思っていたからこそ、爆豪は思いもしなかった。
自分の放った一言が、彼の人生を大きく狂わせてしまうことになるとは。
教室を出た爆豪はなんとなしに後ろを振り返った。
瞬間、景色は学校の屋上へと一変した。
自身の身に何が起きたのか理解できずに混乱する爆豪だったが、そんなのは一瞬にしてどうでもいい事象へと変わる。
なぜなら屋上にいたのは爆豪だけではなかった。
屋上の縁に彼は立っていた。
ぼんやりと下を眺めるその姿に心臓が警報を鳴らす。
嫌な予感が頭を過る。
息が詰まり呼吸が浅くなる。
手を伸ばして彼のすることをやめさせなければいけないのに、何かに拘束されているのか、その場から動くことができない。
「お、おい……」
声を。
掛けた。
その時。
彼は、真っすぐに爆豪を見つめると、満面の笑みを浮かべ身体をゆっくりと傾けた。