第21章 【ヒロアカ】Who killed Cock Robin【3】
「ひ、ひどい……」
「フン……」
鼻で笑う爆豪。
次に自分が彼に対して何を言うのか、"自然と"わかった。
「そんなにヒーローに就きてんなら効率良い方法あるぜ」
ダメだ。
やめろ。
それは言うな。
何度も何度も言い聞かせるが、止まってくれそうにない思考。
自分の身体なのにまるで自分ではないような感覚がした。
「来世は"個性"が宿ると信じて……屋上からのワンチャンダイブ!!」
酷いことを言った自覚はあった。
だけど止められなかった。
流石に反論してくるだろうと思い、爆豪は横目で彼を見た。
だが、想像とは違い彼はただ立ち尽くし「そう、だね」と力なく笑っていた。
は?
なんだその反応。
拍子抜けだ。
反抗したら反抗したで気にくわないが、この全てを諦めたような態度も気にくわない。
なぜこんなにイライラするのか。
その理由を"今"の爆豪はわかっている。
しかし、制御できないのは"この時"の未熟さが原因であることも分かっていた。
畏怖、恐怖、嫌悪、不安、焦り、嫉妬、羨望、憧憬。
積み上げられた感情は、時間と共に大きく捻じれ、どうすることもできない思いだけが重なっていった。
彼は重い足取りで窓際まで歩き、ノートが捨てられた場所を見つめる。
泣くでも悔しがるでもなく、ただ静観する姿がムカつく。
爆豪は眉間に皺を寄せ、舌打ちをし教室を後にした。